こんにちは、mucchiです。
今回は、田中圭さん主演舞台「もしも命が描けたら」東京公演の感想をお届けします。
具体的には私が観劇した2021年8月21日(土)マチネ&ソワレの感想です。
舞台「もしも命が描けたら」を観劇された方と少しでも思いを共有できれば嬉しいです。
また観劇されていない方には少しでも舞台の雰囲気が伝われば幸いです。
是非最後までお付き合いください(^^)
舞台「もしも命が描けたら」公演情報
【作・演出】鈴木おさむ
【アートディレクション】清川あさみ
【テーマ曲】YOASOBI
【出演】田中圭/黒羽麻璃央/小島聖
□東京公演:東京芸術劇場 プレイハウス/2021年8月12日(木)〜22日(日)
□兵庫公演:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール/2021年9月3日(金)〜5日(日)
□愛知公演:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール/2021年9月10日(金)〜12日(日)
□配信:Stagecrowdにて 2021年9月17日(金)/見逃し配信〜9月23日(木)※本編配信前に座談会あり
□放送:衛星劇場にて 第一回2021年12月12日(日)/第二回2022年2月5日(土)※本編終了後に座談会あり(配信時の座談会映像とは別編集Ver.)
【あらすじ】
この日の夜、星野月人は森の中にいました。
深い深い森の中で、一本の木にロープをかけていました。
そうです。35年間生きてきた自分の命を絶とうとしていたのです。画家になる夢を持っていたが諦めた月人。
生きることを諦めようとしたときに、得たある力・・・そんな月人が出会った女性、空川虹子。
彼女を笑顔にするために生き始める月人だが・・・
虹子には光陽介という愛する男性がいた。月人は今日も誰かのために、絵を描く。命の分だけ・・・
引用:舞台 もしも命が描けたら – トライストーン・エンタテイメント
舞台「もしも命が描けたら」
今のところ映像化はされていませんが、戯曲は発売されています。
鈴木おさむさんのエッセイ「月人と田中圭」も非常に興味深い内容です。
鈴木おさむ×田中圭タッグ第3弾
今回の舞台「もしも命が描けたら」は、鈴木おさむ×田中圭タッグ作品第3弾。
第1弾「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」
第2弾「僕だってヒーローになりたかった」
そして第3弾「もしも命が描けたら」
その他にもAbemaTVで放送された「田中圭24時間テレビ~24時間生放送しながらドラマは完成できるのか?!~」や、ドラマ「先生を消す方程式。」でタッグを組んでいますが、舞台は3作品目。
今回鈴木おさむさんがインタビューで「僕とやるときにしか出ない、田中圭の”炎”を見せたい」と仰っていました。
個人的にも、鈴木おさむさんの作品でしか見ることが出来ない「田中圭」が存在すると思っているので、ずっとこのタッグが続けばいいなぁと願っています。
こちらの記事でも鈴木おさむさんが田中圭さんについてお話されています。
鈴木おさむ×田中圭タッグ第一弾「芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜」のDVDはこちら。
田中圭さんと若林正恭さんの掛け合いが最高で、笑って泣ける素晴らしい作品です。
舞台「もしも命が描けたら」東京公演の感想(2021年8月21日(土)マチネ/ソワレ)
初めて田中圭さんのお芝居を生で観られるということで、なぜかこちらがド緊張。
そして舞台を観終わって出てきた私の最初の感想が
「なんか凄いものを観た…。」(放心状態)
主演の田中圭さんはもちろん、小島聖さん、黒羽麻璃央さんの生のお芝居のエネルギーがとにかく凄い。
もの凄い熱いエネルギーを1時間50分浴び続けた感じ。
圧巻でした。
そんな御三方の感想は後ほど書きます。
シンプルなステージセット
想像よりもかなりシンプルなステージセットでビックリ。
正面の壁にはまん丸の月をモチーフにしたセット。
その月が、アートディレクションによって三日月になったり満月になったり。
なんとも素敵な演出。
そしてフラットなステージ上には、客席側に少しだけ傾いた大きなまん丸のステージ。
そのステージの上に、様々な大きさの岩が何個も置いてあります。
その岩は、シーンによって机や椅子、配送の小包、動物など、様々なものに置き換えられます。
物語の前半はその岩がステージ上を移動するだけで、セット自体はほぼそのまま。
物語の後半ではステージ上に幕が下りてきて水族館になったり、スナックになったり、ステージそのものが三日月になったりと、様々な場所に変化します。
とはいえセット自体は最後までずっとシンプルです。
個人的には、大掛かりなセットの舞台よりも、俳優さんたちのお芝居にどっぷり浸れるのシンプルなセットの舞台のが好きなので、めちゃくちゃ嬉しかったです。
舞台の雰囲気はステージナタリーのこちらの記事が分かりやすいです!
美しいアートディレクション
アートディレクションは、清川あさみさん(@Asami_Kiyokawa)
舞台正面の月やメインステージに映し出される映像の美しさたるや。
中でも一番好きなのは物語中盤、絵を描いて自分の命を分け与える力を手に入れた月人が、スケッチブックを持って次々と命を描いていくシーン。
清川さんのアートディレクションが舞台を鮮やかに彩ってくれていてそれがとても綺麗で、でもシーン自体は少し切なくて、そこにYOASOBIの曲が相まって涙が止まらなかったです。
YOASOBIのテーマ曲「もしも命が描けたら」
とにかくAyaseさんの「物語を曲に落とし込む力」が凄い。
そこにikuraちゃんの「儚くも力強い歌声」が加わり鳥肌。
メロディーも歌詞もめちゃくちゃ切なくて、聴けば聴くほど泣ける曲ですね…。
このテーマ曲が劇中で3回流れます。
1回目:開演時間になり舞台が暗転した直後
2回目:物語のちょうど中盤あたり
3回目:物語が終わった後
流れるタイミングによって聴こえ方が全く異なるのがこの曲の凄いところだと思いました。
私の解釈はこんな感じです。
1回目:物語のあらすじ
2回目:物語前半の答え合わせと後半への導入
3回目:物語の答え合わせ
この解釈が正解かどうかは分かりませんが、私にはそんなふうに聴こえました。
でも正直初めて劇場で聴いたとき、そこまで深く読み取ることは出来なかったんですよね。
というのも、結構大きな音で流れるので、歌詞を細部まで聴き取れなくて。
でも一回目の観劇後、パンフレットを見て歌詞を確認して、そういうことかと。
あまりに物語が曲にうまく落とし込まれていたので鳥肌が止まりませんでした。
YOASOBI恐るべし。
YouTubeに清川あさみさんが手掛けた「もしも命が描けたら」のMVが公開されています。
とても素敵なのでまだご覧になっていない方は是非!
物語の正解は観た人それぞれの中に
物語のあらすじは前述の通り。
原作はなく、鈴木おさむさんの完全オリジナルということもあり、この物語の正しい解釈は未だに分かりません。
しかし鈴木おさむさんもインタビューで「受け取り方はたくさんあっていいと思う」「今回は観た人によって違う物語になるような作品が作りたい」というようなお話をされていました。
実際にSNSなどでこの舞台を観た方の感想を読んでみても私の解釈とは全く違ったりして、「そういう見方もあるのか…!」なんて、とても考えさせられました。
そこもオリジナルならではの面白さだなぁと思いました。
最高のキャスト
そして何と言っても田中圭さん、小島聖さん、黒羽麻璃央さんの素晴らしい演技には圧倒されました。
この御三方だからこそ、この物語に説得力をもたせることが出来たのだと思います。
田中圭さん
舞台上の彼から発せられるエネルギーは凄まじかったです。
特に冒頭、黒羽さん演じる三日月に月人が語り続けるシーンは圧巻。
そこにいるのは圭さんではなく間違いなく月人で、物語にどんどん惹き込まれる。
約15分間、とにかく一人で三日月に語り続ける。
ものすごいセリフ量とスピード感。
舞台を観終わった後に「冷静に考えたら冒頭の月人、すごいセリフ量だったな…」と。
舞台を観ている最中はグッと物語の中に入っているのでセリフ量が多いなんて考えてる暇などなかったのですが、観終わった後に「ちょっと待てよ、喋りっぱなしだったな」と思うほど。
月人の一つ一つの表情、セリフ、仕草、全てが素晴らしかったです。
ラストの「泣き叫びながら虹子と陽介への思いを語り、自分の命を削って陽介の命を描くシーン」も、このまま本当に圭さんごと消えていってしまいそうなほどの熱量。
ドラマや映画でのお芝居ももちろん好きですが、やっぱり生で観る彼のお芝居のエネルギーは凄い。
ますます好きになりました。
衛星劇場で放送されるにあたり公開されたこちらのインタビュー。
赤裸々にいろいろと語ってくれています。
https://www.excite.co.jp/news/article/Enterstage_99984
小島聖さん
小島さんのお芝居を生で観るのは今回が2回目でした。
前回観たのは森田剛さん主演の舞台「夜中に犬に起こった奇妙な事件」(2014年)
今回小島さんは「月山星子」と「空川虹子」の二役。
二役とも容姿はほぼ一緒なのに、表情や声のトーンや間で、全くの別人を演じられていました。
星子の「優しさと明るさの中にほんの少し切なさが同居している」感じ。
虹子の「生きづらさを抱えながらも必死に前を向いて生きている」感じ。
小島さんは声色がとっても素敵で、第一声聴いただけでグッと惹き込まれました。
第一声でこんなにも心を持っていかれたのは初めてかも。
それともうひとつ。
この舞台はキャストが舞台袖に捌けることがほぼなく、ずっとステージ上にいるんですよね。
田中圭さんの感想のところにも書いた「月人が泣き叫びながら虹子への思いを語り、自分の命を削って陽介の命を描く」シーン。
照明が当たっているのはステージの中央にいる月人。
虹子には照明が当たっていないのですが、月人の思いを聞いてボロボロと大粒の涙を流していて。
その涙に気づいた瞬間こちらまでブワッと涙が溢れてきました。
月人との掛け合いも非常にテンポが良く、素晴らしかったです。
もっと違う作品も観てみたいと思う素敵な女優さんでした。
黒羽麻璃央さん
恥ずかしながら、黒羽さんのお芝居を観るのは今回が初めて。
黒羽さんはもうそこにいるだけで舞台がとっても華やかになるような。
声が綺麗でセリフも聞き取りやすく、お芝居もとても魅力的でした。
黒羽さんも今回は「三日月」と「光陽介」の二役。
前半の三日月はセリフ自体は少ないですが、ストーリーテラー的な重要な役割。
舞台上にあるたくさんの小道具をシーンに合わせて移動させたり、月人の独白を表情だけで受け止めたり。
それだけではなく実際に月人と対話するシーンも印象的でした。
後半の光陽介は前半の三日月とは打って変わって、虹子が愛するちょっとチャラい男性。
ラストの「虹子への思いを吐露するシーン」は痺れました。
どちらの役も本当に難しかったと思いますが、演じ分けが素晴らしかったです。
8月21日(土)マチネ備忘録
ここからは少しだけ私の観劇日記です。
8月21日(土)マチネが私の観劇初日。
ネタバレ等の前情報は入れず、開演前に購入したパンフレットも読まず、まっさらな状態でいざ観劇。
1階席後方+所見なので、全体のストーリーをつかむのをメインに表情が気になる部分は双眼鏡で。
この日は舞台が始まって10日目。
圭さんは最初から全力。
直前までコロナで療養していたなんて少しも思わせないほどの熱量で月人を生きていました。
序盤から汗がかなり滴っていて、声は若干掠れ気味。
ご本人はしんどかったかもしれないけれど、その掠れた感じが妙に物語とマッチしていて私はとても心が揺さぶられました。
カーテンコールは2回。2回目はスタンディングオベーション。
カーテンコールであんなにもグッときたのは初めてだったかもしれない…。
最後舞台から捌けていくときに少しだけ笑顔が見られたので、ファンとしては正直かなりホッとしました。
8月21日(土)ソワレ備忘録
マチネが終わってからしっかりパンフレットを読んで、いざ観劇。
マチネは物語を把握するのに手一杯で照明やアートディレクションまでしっかり観られなかったので、ソワレではしっかりと堪能しました。
めちゃくちゃ綺麗。
2階A列だったのでとても視界が良好で、新たな気づきもたくさん。
これまたマチネではしっかり聴き取れなかったYOASOBIのテーマ曲も、ソワレでは歌詞がスッと入ってきて涙腺が緩みまくり。
圭さんの声はマチネよりもさらに掠れてて、「最後までもちますように…」って勝手に願ってしまうほどだったけれど、そんな心配もよそにそれさえも味方につけて最高のお芝居を魅せてくれました。
恐るべし、田中圭。
カーテンコールはマチネ同様2回、2回目はスタンディングオベーション。
素晴らしいお芝居を観させてもらった感謝をこれでもかというくらい拍手に込めました。
田中圭さん主演舞台「もしも命が描けたら」東京公演の感想 まとめ
初、田中圭さんの舞台観劇。
とにかく”凄い”の一言に尽きました。
テーマ曲とアートディレクションがある舞台を観るのも初めてだったので、個人的にはとても新鮮で面白かったです。
ファンタジーなんだけど、どこか現実味もあるような不思議な世界観。
主演の田中圭さんをはじめ、共演の小島聖さん、黒羽麻璃央さん、この御三方の演技がとにかく素晴らしかったです。
そこそこのキャパのホールにとてもシンプルなセット。
その空間で1時間50分魅せてくれた御三方にはどれだけ拍手を送っても足りないくらい。
物語も私には刺さる部分がありすぎて、途中から涙が止まらなかったです。
特にラストの月人のセリフ。
「さあ、月人。絵を描くんだ。きっと面白い人生が始まるよ。」
当時人間不信に陥っていた私にとってこの「きっと面白い人生が始まるよ。」というセリフは、希望の光のように感じました。
そして最後に一つだけ…
円盤化してください、お願いします!!!(泣)
どこかのお偉い方に届きますように…
最後までご覧いただきありがとうございました(^^)
舞台「もしも命が描けたら」
今のところ映像化はされていませんが、戯曲は発売されています。
鈴木おさむさんのエッセイ「月人と田中圭」も非常に興味深い内容です。